かわいく、燃費が良いコンパクトカー人気の兆し
前回の【自動車の消費者トレンド20年史 その2】では、BTSの開通などから消費者の移動の選択肢が増えたことや、高級車種としてSUV登場から新しい自動車への価値感が芽生えた様子を紹介しました。
そこからまた数年たった、2007年には、自動車の製造拠点としてより発展させることと、国内の消費者に「低価格、低燃費、低公害」の自動車購入促進を目的とした、「エコカープログラム」が導入されたようです。
このエコカープログラムでは、日産「マーチ」、「アルメーラ」、ホンダの「ブリオ」、「ブリオ・アメイズ」、三菱自動車の「ミラージュ」、「アトラージュ」、スズキは「スイフト」、そしてトヨタから「ヤリス」の8モデルが認可を受けたそうです。
その後、2011年9月から2012年末にわたりインラック政権が「ファーストカー減税」を実施しました。これは、初めて車を買った人に10万バーツを還元するもので、国内販売が80万台から一気に145万台まで急増した時期だったようです。
このような政府主導の政策により、特にバンコク市内では、乗用車を中心に黒煙を撒き散らして走る中古自動車は、年々と影を潜めてきたようです。
消費者にとっても、なかなか上向かない景気の中で、より燃費のいい車への乗り換えという需要、販売価格が抑えられたことで初めて自家用車を購入する層などの需要とも相まった結果が、上記の販売台数にみられる伸びの要因だと思われます。
50万バーツ台からでも買えるエコカーの出現により、「ピックアップトラックに比べると高価な自家用乗用車」としての乗用車のイメージは、カムリやアコードなどの「セダン」とフォーチュナーやCRVなどの「SUV」に加え、今までの高級車にはなかった、赤やグリーンなどカラフルで安価な小型車を背伸びすることなく楽しめることも可能となり、幅の広い価格帯と車種が市場に出回った時期のようです。
いまでは、コンパクトで低燃費の自動車を街中よく見かけるようになりましたが、この頃が自家用車に対する消費者のニーズの多様化が始まった時代、と言えるのではないでしょうか。