【メディア掲載】タイで売れる仕組みの作り方
2018年10月号の「タイ・ASEANの今がわかるビジネス・経済情報誌ArayZ アレイズ」にてCross Marketing (Thailand) Co., Ltd. の寄稿記事が掲載されました。
生活者のシングルソースデータ
クロス・マーケティング(タイランド)は、ブランド所有・価値感・メディア接触に関わるシングルソースデータの取り扱いを始めました。1年に1度実施されるタイ全土4000人(12ー59歳)への、対面式のインタビューをもとにデータ化し、各企業が必要なデータを切り取り、提供しています。
このデータから、選ばれているブランドのランキングや、ブランドユーザーのプロファイル、メディア接触状況を把握し、現状の仮説の立案を通して具体的なマーケティング活動の提案を行います。
今回は、消費に対して積極的な20代女性の特徴を把握するために、20代女性と女性全体を比較することで見えてきた違いをレポートに取りまとめてみました。
20代女性のブランド観は?
Managing Director
濱野英和
オフィス機器の法人営業マネージャー、株式会社ネットマイルのリサーチ事業部立ち上げ、株式会社ミクシィ・リサーチの代表取締役COOを歴任。マーケティングリサーチ業界で10年以上の経験を持ち、オンラインリサーチ以外の手法や、モバイルリサーチに関する研究、サービス開発を行う。2016年度からクロス・マーケティング(タイランド)社代表に就任。
Associate Director
Kajornkiat Kiatsunthorn (ポム)
大手グローバル系リサーチ会社にて10年以上のキャリアを持ち、多くのプロジェクトを担当。中でも経験者が少ない医療/ヘルスケア領域のリサーチにも精通している。消費財・小売店・商業施設などの事業戦略コンサルティング会社にて企業サポートの実績も多数。リサーチの企画からモデレーション、分析まで専門分野は幅広い。
濱野:ヘアケア製品に関しては「自分に合う効果と性能」と「パッケージ」がブランドを選択する際の要素としている傾向があるようです。「PANTENE」や「DOVE」の購入者のうち、20代が他の年代より高いようです。
ポム:どちらの商品も、マスブランドの「Sunsilk」と「Rejoice」よりもプレミアム感のあるブランドとして認識されています。価格の差はそれほどありませんが、広告による訴求の仕方が異なり、ブランドイメージをうまく作っています。しかし、ライフステージの変化とともに、お買い得品(金額に見合う価値)にブランドスイッチをする傾向もあります。
濱野:一般的には価格的にも安く、多様な機種の選択肢があるアンドロイドが東南アジアでは好まれていますが、20代と他年代を比較すると、「i-Phone」が根強い人気を維持しています。20代が他の世代を12ポイント近く引き離しています。高級感があり、より洗練されたブランドイメージが浸透しています。
ポム:そうですね、iOSを採用しているブランドは「i-Phone」のみ。「アンドロイド」が市場シェアを占めています。新しいモデルに短期間(約1年)で買い換えるのがトレンドとなっています。 また、「ACER」のノートパソコンとタブレット端末に対する価格満足度が高いです。
濱野:四輪車・二輪車とも20代女性には「ホンダ」が幅広い支持を得ています。デザイン、メーカーのイメージ、耐久性の順に重要視しているようです。ホンダ車はスポーティなイメージがあり、小型車から大型車まで人気があります。
ポム:30代以上の女性は耐久性をより重視しており、「トヨタ」が選ばれる傾向にあります。二輪車は3位まで「ホンダ」が独占しており、「二輪車界のトヨタ」として君臨しています。耐久性に加え、修理しやすく、中古になっても価値が値崩れしません。機能性や耐久性よりも、ブランドイメージ、デザイン、見た目の要素が重視される傾向にあります。以前のように、いかにも高級車というブランドよりも、コンパクトな自動車に、高級な自転車を積んでいるような嗜好性が強くなってきています。
濱野:当然、日本、日本ブランドに対するイメージはよく、新しいものに対する積極性も強い20代ですので、彼女たちの価値感やライフスタイルをしっかり把握した上での、商品戦略や販売戦略が必要です。モバイルネイティブであり、常に新しい情報を探していますので、正しい情報や知識をインターネットを通じて発信していくことが大切ですね。その上で、彼女たちが買える価格帯で、手に取りやすい場所で、満足させるデザイン・機能性を持った商品作りが必要です。満足させる機能性とは、必ずしも日本における最高品質でないということは理解すべきだと考えます。
ポム:日本の製品はタイ人にとって新鮮に映ります。まだ知られていないブランドでも挑戦するチャンスはありますが、いくら日本ブランドを語っても、無名のままでは女性の手は伸びません。市場に投入すると同時にマス広告も重要ですが、うまくSNSなどを活用したデジタルマーケティングで、認知度を高めることが大事です。グリコのアイスクリームが大ヒットしたのも、自然発生的ではありましたが、そこでのSNSの影響は計り知れないものでした。