【メディア掲載】車選び「耐久性」を最重視 高所得者は環境面も=ケーデンス

2019年02月26日の「アジア経財情報誌 The Daily NNA タイ版」にてケーデンス・インターナショナル(タイランド)代表取締役濱野英和のインタビュー記事が掲載されました。

調査会社クロス・マーケティンググループのタイ子会社ケーデンス・インターナショナル(タイランド)が、タイ人が自動車を購入する際に重視するポイントを所得層別に調査した結果、全ての階層で「耐久性」「品質」「価格の手頃さ」が上位に入ったことが分かった。また、所得が高い層ほど環境に配慮した車を重視する傾向にあり、所得と環境意識の相関性があることも明らかになった。

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ケーデンス・インターナショナル(タイランド)は、2018年7月20日~8月30日に、タイに住む12~59 歳の男女4,000人を対象とした市場調査「T―Qube(ティーキューブ)」を実施し、世帯月収別に自動車購入で重視する点について調べた。4,000人のうち、自動車を保有している人は1,606人で、乗用車の保有者は844人に上った。乗用車の保有ブランドではホンダが37%、トヨタが31%、日産が11%、マツダが7%などだった。

所得別の自動車保有割合は、A層(世帯月収8万5,001バーツ=約30万円=以上)が64.7%◇B層(5万1~8万5,000 バーツ)が51.1%◇C層(1万8,001~5万バーツ)が31・9%◇D層(1万8,000 バーツ以下)が21.4%――だった。保有車両の内訳は、◇A層:乗用車42.9%、ピックアップトラック47.6%◇B層:乗用車41.2%、ピックアップ55.4%◇C層:乗用車32.0%、ピックアップ41.3%◇D層:乗用車28.5%、ピックアップ40.7%――だった。

自動車を購入する際に重視するポイントの上位は、全体で「耐久性」「品質」「価格」「快適性」の順となった。1位の「耐久性」を選んだのは、所得が高いA層が63.5%で最も高かった。次いでB層が63.2%、C層が61.0%と続き、D層は47.9%だった。「品質」を重視すると答えたのが最も多かったのはB層で48.9%。次いでA層が47.3%、C層が44.4%、D層は33.5%となった。

ケーデンス・インターナショナル(タイランド)の濱野英和代表は「高所得者層から中間層までは、同程度の割合で耐久性や品質を重視すると回答している一方、D層になると、その割合は低下する傾向にある。これは、そもそも自動車に対する購入意欲が低く、品質を求める以前に支払い能力の有無や、ローンが組めるのかどうかという意識が先に来ているからだと考える」と説明した。

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また濱野氏によると、高所得層を中心に「環境に配慮した車」を重視する傾向がある。調査では、環境への配慮を挙げたのは、A層が22.3%と最も高く、所得が下がるごとに比率は下がり、D層は8.0%にとどまった。最近はバンコクを中心に大気汚染が社会問題になっており、高所得者は一層環境を意識したライフスタイルを選択し始めているという。そのため、「所得格差が大きいタイでは、階層別のライフスタイルに合わせた訴求が(各メーカーにとって)重要になる」と説明した。

情報収集、口コミや販売員の意見も重視

また自動車の情報を収集する方法についても調査した。最も多かったのは「テレビ」(48.4%)で、「知人の口コミ」(34.1%)、「販売員の意見」(31.3%)が続いた。濱野氏は「一般的に口コミを重視するとされるタイの国民性を表している結果だ。販売員の意見を重視する人も3割を超えるため、販売代理店での従業員の教育は販売台数を伸ばす上で重要になる」と指摘した。タイでは日系企業による販売代理店に対する覆面調査依頼が増加しているといい、サービス向上を図っているとみられる。

また中間層以上を中心に会員制交流サイト(SNS)の利用も活発だといい、「今後はスマートフォンを使ったマーケティングが、ブランドの認知度向上や販売台数の拡大を目指す上で鍵になる」と述べた。

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※この記事は、アジア経済ビジネス情報を発信するNNA(株式会社エヌ・エヌ・エー)の許可を得て掲載しています。