【自動車の消費者トレンド20年史 その1】

タイ・バンコクの地に住んで丸3年が過ぎ、我々の会社も4年目を迎える現在、タイ(特にバンコク)の生活者のライフスタイルはとてつもない勢いで多様化してきていると思う。

その背景には、誰もがスマホを手にし、その画面を覗きこむと大量の情報にリアルタイムで触れることができるということが大きく影響している。

過去、数十年さかのぼれば、日本とタイには大きな経済格差やトレンドの違いなどがあったはずですが、それがこの数年でそこに差がなくなってきたように感じる一方、実はすでに我々は追い抜かれている感覚すらある。

そこで、僕にはわからない、「ひと昔前のタイってどうだったの??」ということで、諸先輩方との話からこの20年ぐらいのトレンドをさかのぼって、現在のタイと比較してみようと思い、不定期連載をとりあえず始めてみようと思う。

日本にいる海外担当者、駐在してまだ数年の方々の参考に少しでもなれば嬉しいです。

まずは、自動車に関するトレンドの変化を題材にしてみたいと思う。

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【自動車の消費者トレンド20年史 —その1】

1997年の東南アジア通貨危機を乗り越え、2000年代のタイは、政治の混乱がありながらも、経済の立て直しは順調に進められ、2000年度から2018年度の一人当たりの名目GDPの推移は、約3倍と急成長を成し遂げた。

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そうした経済環境を背景に、2000年以降の消費者における自動車トレンドを今後数回にわたり、振り返ってみたいと思う。

1990年代、タイではバンコクにおいても1トンピックアップトラックが大半を占めており、色はシルバーかホワイトが主流だったという。
当時、自家用車は、ほとんどがセダンで、ベンツであろうがカローラであろうととにかくセダンだった。
そして面白いことに、どれも色は「ゴールド」であったようだ。

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理由は単純明白で、商売用の車ではない“自家用車”であることをアピールしたいからだ。

日本では、コンパクトカーが流行りだした時代で、マーチ、フィットやヴィッツなどのハッチバックが主流であったようだが、

その頃、タイではシビックやカローラなどほとんどがセダン、しかもゴールドが主流であり日本のトレンドとは大きな違いがあったようだ。

とにかく、ベンツであれカローラであれ、“セダン”を乗ることにステータスを感じることができる時代であったようだ。

【自家用車=ステータス】

ちょうどこの頃、BTS(スカイトレイン)が開通したが、利用しているのは観光客がほとんどで朝晩の通勤時も利用者は少なく、閑散としていたということで、今のBTSとは大きく違っている。

乗用車に乗ること自体がステータスの時代。
乗用車を保有できる消費者は、BTSの存在には全く関心を示さなかった時代であり、現在の朝夕のラッシュアワーの混雑が、嘘のようだったようだ。